私はここ数年,バナナが好きでよく食べています。
食の好みというのは,私の場合,大体は一過性のものとなってしまいすぐに飽きることが日常茶飯事なのですが,バナナに関してはそのようなことはなく,ご飯や納豆,卵とまではいかなくても,1週間に1房ペースで今後も消費し続けていくことでしょう。
そこで今回は,そんな「バナナの魅力」について,これまでに私が知り得た知識を余すことなく書いていきたいと思います。
中には驚くようなことも書かれているかと思うので,是非読んでみてください!
バナナの特徴
バナナは果物の1種ですが,多くの果物とは一味も二味も異なっている特徴を持っています。
簡単にわかりそうなものといえば,その香りでしょうか。
熟すことでエステルが香気成分として生成されてくるのですが,似た香気成分を持つものにメロンがありますね。
確かにどちらも良い香りがしますが,バナナに特有の成分としては,酢酸・プロピオン酸・酪酸といったアミルエステルの他,オイゲノール・エレミシンなどのフェノールエーテル類があるようです(参考)
私が大学時代に習ったときには,成分の数として全部で350種類はあると言われていたバナナだけに,リンゴ(100種類くらい)の3倍くらいは,香りが豊かな果物であると考えられます。
もっとも,真の意味でバナナに特有の成分というものはそうそう存在せず,含まれる化学物質の量やその割合によって果物独自の香りは形成されるわけで,もっと言えば,同じバナナであっても,熟しているのとそうでない状態で香りのパターンは大きく異なり,もはや別物と呼べるほどです。
ところで,熟していないバナナを食べてみると,バナナは酸が極めて少ない果物であることがわかります。
本来,果物というものは熟すまでは酸っぱいことの方が普通です。
例えば,緑がかったミカンの味を想像してみてください。
酸っぱくて食べられたものではありません。
しかし,それもそのはずで,熟すまでに動物に食べられてしまえば,ミカンの子孫繁栄には役立たないでしょう。
熟して種がしっかり備わった状態,環境が整った状態で食べられて初めて,果実は意味を成すのです。
しかし,バナナはそうではない生存戦略を取っているようで,なるほど,バナナの果実に種は存在しませんね。
ちなみに,未熟なバナナで食用のものは結構周りで売られていて,タンニンによる渋みを感じることはあるのですが,以下の動画をみると煮物にするのがおすすめのようです↓
この他,一見,バナナは水分が少なそうに見えるかもしれませんが,普通の果物と同様,8~9割は水分です。
水を加えず,1本のバナナをそのままミキサーにかけてみたものが以下の写真ですが,一体どこからこの水分は出てきたのだろうかと言わんばかりにドロドロになってしまいました↓
果物とは面白いもので,本体からもいだとしてもその実がすぐに死ぬわけではなく,かなりの長い間,生き続けます。
ゆえに,果物の皮は外の敵や環境に対する防御機能を保ち続けることができ,後述しているように,細菌への抵抗力を発揮したり,水分を失わずに済んだりするわけです(もちろん,追熟するのも生きているがゆえです)。
その他,生産国について知っておくとよいかと思われますが,赤道の南北30度以内のいわゆる「バナナベルト地帯」で栽培されていて,マレーシアが原産だと言われていますが,今では中南米・インド・フィリピン・メキシコ・台湾が主な生産国となります。
日本には明治時代に初めて輸入されたのですが,祖父の話によれば,昭和38年に輸入が自由化されるまで,ほとんどが台湾産のものだったそうです。
バナナの栄養成分
バナナの栄養成分ですが,可食部120g(バナナの大きさにもよりますが,1~3本)で
- エネルギー103kcal
- タンパク質1.3g
- 脂肪0.2g
- 炭水化物27g
- GABA10mg
などといった表示が確認できるかと思います。
ちなみに,最後に挙げた「GABA」という物質ですが,私がよく買ってくるスミフルというメーカーのバナナが機能性表示食品に認定されている理由にもなっていて,20mg/日を摂取すると血圧を低下させる機能が報告されていたりするわけです。
少しスミフルについて触れておくと,1972年にフィリピンで初の高地栽培を開始したメーカーで,上に示した「甘熟王」というバナナが特に有名で,多くの方がその名前について聞いたことがあるでしょう。
このバナナは高地栽培がウリで,低地で育てた場合と比べて気温が特徴的なものとなるだけに(朝晩の寒暖差や全体的に気温が低くなるなどで),4ヶ月ほど育成期間が延びます。
つまり,光合成できる時間数も総合的に長くなるため,果肉内に作られるデンプンの量も多くなって甘さが増すというわけです。
メーカーのHPをみると,糖度にして2~4度高めになると書かれています。
とはいえ,同じくスミフルから出ている「朝のしあわせバナナ」という商品は甘熟王ゴールドプレミアムの2.5分の1ほどの値段で手に入り,人によってはそれほど味に違いはないと感じることもあって,より人気は高いです↓
実際,バナナは追熟期間を経て甘さをマックスにすることが重要で,そのタイミング判断を見誤ってしまったり,冷蔵庫でうまく保存できずに食べてしまえば,先の甘熟王であっても「思ったほどおいしくないな」などと感じてしまうことがあります。
無論,黄色くなっている時点で,すでに追熟は行われていておいしく食べられはするのですが,それでももっと甘くなることは確かです。
この前,どこかの山奥にバナナの自販機があったので利用してみたのですが,熟し切る前の状態で入れられていたがために,その場で食べた時にはイマイチに感じました。
それでは次章で,そんなバナナの保存方法についてまとめておきましょう!
バナナの保存方法
バナナは熟すと,保有しているデンプンが分解され,甘みが増し,渋みは不活性化され,組織はやわらかくなり,都合が良いことに,バナナ自体が匂いと色で食べ頃を教えてくれるわけです。
まずは,「シュガースポット」などとお洒落に呼ばれている茶色い星が表面に現れてくるまで外に出しておきましょう。
このとき,バナナスタンドなるものを使うと,見た目良く,そしてもちろんバナナに負担をかけることなく置いておくことができます↓
例えばスタンドを使わないような場合だと,地面と接しているところが重みで傷つきやすいわけです。
バナナ好きの方は是非買っておきましょう!
さて,十分に熟したように感じたら,ビニールまたは新聞で包んで野菜室(3~8℃とされ,冷蔵庫の中でもっとも高いスペース)に入れますが,これはバナナ周りの湿気を保ち,かつ冷気を直接当てないためです。
ちなみに,もしもバナナの皮の表面が真っ黒になってしまっても(これは低温によるためです),皮を剥いてみるとあら不思議,果肉の方は真っ白な状態で,何の問題もなく食べられてしまいます。
ところで,バナナが痛むと言うのはどのような状態になることを指すのでしょうか。
先述したように,生きているバナナですから普段は皮で内部をガードしています。
ところが,皮に傷が付いてしまうと,そこから菌が果肉の方に侵入してくるわけで,このとき,中が酸性だとまだ傷みにくいのですが,先述の通り,そもそもがあまり酸っぱくないバナナだけに,侵入された部分はアルカリ性へと変わり,腐ってしまうわけです。
加熱したりミキサーにかけても,組織は粉々になるため腐りやすいのはそのためですが,とはいえ,黒くなったところが一部であれば,その部分だけを切り取って残った部分を食べることはできます。
そもそも,タンパク質が分解されるから毒になってしまうわけで,栄養成分のところでみたように,バナナ,ひいては果物自体にタンパク質は少ないわけですから,肉や魚などと比べると食中毒の危険性はそれだけ小さなものになります。
バナナを使ったおすすめレシピ
最後に,バナナを使ったレシピについて紹介しますと,ミキサーを使えばバナナジュース,輪切りにして冷凍庫で冷やせばバナナアイスというのが簡単ですが,熱を加えた調理法もおすすめです。
やや手間ですが,油で揚げると美味しく,現にバナナチップスなどという商品が売られていますが,私は「バナナ餅」を作ることが多く,簡単な材料で,調理自体も10分ほどで完了してしまいます↓
バナナ餅の材料(1人分)
バナナ(1本)・中ザラ糖(大さじ2)・切り餅(2個)・バター(少々)
以下で,もう少し詳しい作り方を紹介しましょう!
①ボウルに小さく切ったバナナと餅を入れる
最初に,バナナと餅を少し小さくして,ボウルに入れます。
結局,溶けてぐちゃぐちゃになる運命なので,そこまで細かく厳密に作業するものではありません。
②レンジで2分加熱する
私は普段600Wで2分間チンしますが,時間などは適当で,③の混ぜる作業ができる状態になれば結構です。
ラップなども特にしません。
③フォークなどで練る
レンジから出したものは熱くて手では触れられないので,スプーンやフォークで潰すように混ぜます。
これらを均一になるまで練りこむのは土台無理な話なので,ほどほどのところで止めましょう。
粗くても個性になりますし,頑張って練れば味が均一になります。
④フライパンに中ザラ糖を入れて火にかける
いわゆるザラメを溶かしていきますが,砂糖は熱を加えると,シロップ状→アメ状→カラメル状などと形を変えていくのが面白いですね。
真っ黒に焦げるまでやるとやりすぎですが,わかりづらければ,液状化した段階から⑤の準備を始めるくらいにしてみてください。
⑤ふつふつしてきたら③を入れて焼く
③で練ったものの表面に砂糖が乗っかる感じになりますが,ただ砂糖を加えたときと異なり,香ばしさといいますか,独特の苦みが加わります。
⑥両面を焼き,最後にバターを絡めて完成
そう簡単には焦げないので,中火以上で焼いて大丈夫です。
とはいえ,バターと絡める段階に来たら火は弱めるか止めてしまいましょう。
バターは焦がしません。
このレシピは昔,どこかのテレビ番組で見たものを覚えたように記憶していますが,バナナの甘みと砂糖の甘みに加え,焦げたザラメの香ばしさ,そして,甘党の人はこれにメープルシップをかけて食べると甘みのハーモニーが凄いことになります↓
とはいえ,正直なところ,このバナナ餅がこの上なく美味しい食べ物であるということはありません。
ですが,子どもたちにただバナナを出すのではなく,ひと手間加えることで,もてなしている感は伝わりますし,餅が入ることで腹持ちが良くなり,バナナ餅のついでにカルメ焼きも作ってやれば,子どもは大層満足したように見えます。
いずれにせよ,一度は作っていただきたいバナナ餅です。
まとめ
以上,バナナの特徴から始まり,栄養成分と保存方法,そしておすすめのバナナ餅のレシピについてまとめてきましたが,いかがだったでしょうか。
私がここで声を大にして言うまでもありませんが,腐りにくく,食べ時さえ間違えなければ,年中その美味しさを味わえてしまうバナナは,値段が比較的に安く,栄養素的にもおすすめです。
特にスポーツ前の糖分補給に,私はほぼ毎回バナナを利用しています。
シュガースポットの出現と冷蔵庫での保管方法に注意し,もしよければバナナ餅にもチャレンジしてみてください。
なお,私がよくスーパーで買うのは「朝のしあわせバナナ」です。
確かに,熟し切ったゴールドプレミアム甘熟王は,明らかに甘さが違うので別格なのですが,最高に熟し切ったしあわせバナナもかなりの甘さに到達し,味にムラがあるところも何だか気に入っています。
1房に沢山のバナナが付いているものを見つけるとテンションが上がりますし,超甘いバナナに当たるとその週は陽気な気持ちで過ごせるというものです。
もちろん,ドールやデルモントのバナナも負けず劣らず美味しいですので,みなさんも色々なメーカーのものを食べ比べてみてください!
そのとき,追熟期間について見直してみると,かつていまいちだったバナナが上位に来るかもしれませんよ。
ここまでお読みいただいた方,ありがとうございました。