「食事」は,運動や休養と並んで,健康につながる3大要素の1つです。
主な目的は2つありますが,1日を通して栄養素をバランス良く摂取することがまず挙げられます。
不足することが最悪ですが,取りすぎても問題になりますし,いつ食べるかというタイミングも重要です。
食事の目的の2つ目に,楽しく食べることが挙げられます。
身体の健康が1つ目の目的だとしたら,こちらは精神面での健康につながるものです。
見た目にこだわったり,会話しながら食べたりすることでおいしさが増したように感じたことはありませんか。
食事は良好な精神状態につながる他,消化や吸収率も高くなると言われるほどです。
それでは,以下でこれら内容について補足していきましょう!
正しい食事とは
正しい食事のあるべき姿については,2000年に当時の文部省,厚生省,農林水産省が策定した「食生活指針」に書いてあります↓
2016年6月改正分
- 食事を楽しみましょう
- 1日の食事のリズムから,穏やかな生活リズムを
- 適度な運動とバランスの良い食事で適正体重の維持を
- 主食,主菜,副菜を基本に,食事のバランスを
- ごはんなどの穀類をしっかりと
- 野菜・果物,牛乳・乳製品,豆類,魚なども組み合わせて
- 食塩は控えめに,脂肪は質と量を考えて
- 日本の食文化や地域の産物を活かし,郷土の味の継承を
- 食料資源を大切に,無駄や廃棄の少ない食生活を
- 「食」に関する理解を深め,食生活を見直しましょう
家族の団らんの必要性や食事作りへの参加,さらには朝食の重要性や糖質や食塩の取りすぎに注意する他,不足しがちなカルシウムやビタミン,食物繊維についても言及されていました。
今回は詳しく触れませんが,食事には人や文化と関わることによる社会的な役割もあります。
いずれにせよ,読めば読むほどに無駄のない指針であることがわかってくるものですが,過不足なく栄養素を取るための工夫と食習慣の大切さについては,次章以降で詳しく触れていくことにしましょう!
さて,この指針を行動に結びつけるために,2005年に農林水産省と厚生労働省が策定したのが「食事バランスガイド」です↓
上記の料理例は,座って仕事をしている,運動習慣のない男性の1日分の適量(2,200kcalほど)となりますが,大まかな組み合わせや食材について知ることができます。
特に,「主食」や「副菜」といった言葉に慣れておくことと,水(飲み物や食物から2,000ml)や運動が揃って初めてコマが回ることにも注意しましょう。
何をどのくらい食べるべきか
食事の目的として必要な栄養素ですが,具体的には「タンパク質,炭水化物,脂質,ビタミン,ミネラル」の5大栄養素がそれに当たります。
そして,これらをバランス良く取るために役に立つのが「6つの基礎食品群」と呼ばれるものであり,5大栄養素のいずれかを多く含む食品をグループ化したものです↓
群 | 主な栄養素 |
1 | タンパク質 |
2 | ミネラル |
3 | ビタミンA |
4 | ビタミンC |
5 | 炭水化物 |
6 | 脂質 |
群ごとに,1つずつ食品を選ぶだけで良いので,栄養素に注目するよりはずっとわかりやすいと思います。
さて,上の表を利用することで以下のような計画を立てることができるのですが,実は中学の家庭分野の教科書に載っていたものです↓
- まずは主食を5群から選ぶ
- 次におかずとなる主菜を1群から選択
- 2~4群から副菜,果物,乳製品を選ぶ
- 汁物や飲み物を決める
- 点検して終了
もっとも,食品は複数の栄養素を含むのが当たり前なので,成分を正確に知りたければ,食品成分データベースなどを利用しましょう。
「表示成分選択」のところから,表示するものを詳しく設定できます↓
さて,何を食べるかがわかったら,次はどのくらいの量を食べればよいか考えてみましょう。
これについては,性別や年齢,普段の生活などが影響してくるので,1人1人が自分に合った目標量を知ることが大切です。
そのためには「日本人の食事摂取基準」の報告書内にある,エネルギー・栄養素にある項目を利用します↓
例えば,30~49歳の身体活動レベルが「低い」男性(65kg)の場合で調べてみたところ,「エネルギー:2,300kcal,タンパク質:75~115g,カルシウム:738mg,ビタミンC:100mg,ナトリウム:7.5g未満」と決めることができました。
いつ食べるべきか
最後に食事のリズムについて考えてみましょう。
明治時代までは1日2食だったなどの話も聞きますが,多くのデータは3食取ることを前提にしているので,本記事でも1日3回を基本とします。
朝食
朝食には睡眠中に下がった体温を上げる効果があり,身体を起こして疲れにくくなるために必要です。
特に,脳で使われるエネルギー源のぶどう糖は体内に貯めておくことができないので,食事で補給しなければなりません。
そしてこれこそが,朝に炭水化物(特に糖質)を多く取ることが重要な理由です。
脳の活動は考えるだけにとどまらず,あらゆる体内現象に影響を及ぼすことに注意してください。
朝食は大体6~7時に取るかと思いますが,この時間は血糖値が下がっている(食欲が増し,やせやすい)状態なので,ダイエット目的であっても同じ時間に取るようにします。
昼食
昼食は活動量の多い日中に失われるエネルギーを補うために使われるので,夕食よりも消費カロリーは高めになるのが普通です。
胃腸も活発になるので,夜よりもずっと早く消化されます。
時間にして,学校や会社だと12時くらいですが,ダイエットを目的とするのであれば,血糖値が低くなる10~11時の間にできるだけ取るようにしてください。
昼は肉や魚や揚げ物をメインに,タンパク質(+炭水化物)で献立を決めるようにしましょう。
夕食
ダイエットを意識するのでなければ,先に紹介したバランスの良い食事を作ることだけ心がければ十分で,そこまで朝昼夜で食べる内容を変える必要はありません。
ですが,体重が気になる方も多いので,ここではダイエット的な視点で食事の工夫について考えてみます。
夜は日中よりも活動量が少なく,余分なエネルギーは脂肪として蓄えられるので,もしも朝昼にたっぷり食べるようにしている方であれば,夜は揚げ物や脂身の多い肉類,菓子などの摂取を控えるとよいでしょう。
献立を野菜(食物繊維)中心にすればダイエットになります。
なお,翌朝に食欲が出ないような場合は,前日の夕食に食べすぎていたり,食べる時間が遅かったのが原因です。
逆に考えれば,夜に炭水化物を控えることで就寝中に体内のぶどう糖が不足し,脂肪をエネルギーとして燃やすことになるので,太りにくい体質になると言われます。
通常であれば19時くらいに夕食を取るでしょうが,16~17時には血糖値が自然と低くなるので,その時間を見計らって夕食を済ませるようにすると,ダイエットの効果が高まるのでおすすめです。
最近は,お腹の中を長時間空っぽにする「○時間ダイエット」などというものが流行っていますが,これも根本的な原理は同じことでしょう。
まとめ
以上,正しい食事について考える所から始め,食べる種類や量,さらには太りにくい食習慣についても考えてきました。
食事バランスガイドで食品の種類について理解したら,「6つの基礎食品群」を利用して献立を作ることで,栄養バランスの整った食事ができあがります。
各自に合った栄養素の目標は,「日本人の食事摂取基準」を読んで学びましょう。
さらに,普段何の考えもなしで食べていた3回の食事についても,朝と昼に炭水化物とタンパク質を多く取るようにすることで,就寝する際に余分なエネルギーを残さないようにすることが可能です。
寝ている間に余計な内臓脂肪を燃やしましょう!
なお,食事の時間については自分だけで決められないところもありますが,できるだけ血糖値の低い時間に食べることで,ダイエットに役立てることもできます。
もちろん,食事だけでなく運動も大切ですし,健康には心の状態も影響しますので,きつい食事制限だけを行わないようにご注意ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。