私は普段から「大山ハム」を食べることが多いのですが,今回は同社で取り扱っている豚肉の加工品を紹介しながら,ハムとベーコン,そしてソーセージの違いについて学んでいきたいと思います。
これらは,朝食に用いるだけでなく,ワインやビールなどと一緒に軽くつまむ場合も多く,お米に匹敵するぐらい,実は暗躍しているのかもしれません。
本記事を通して,大山ハムの魅力についても紹介できたらと思います。
ハムの種類
「ハム」とは,豚肉を塩漬けにして,風味と保存性を増した肉の総称です。
主に豚のもも肉が使われますが,ロースハム(ロース肉)やショルダーハム(肩ロース肉)で作られるものもあります。
やや特殊なものに,オードブルで有名な生ハムがありますが,そちらはロース肉かもも肉です。
ちなみに生ハムに限っては,通常の3倍以上の塩分量にすることが食品衛生法で定められていますので,たとえ塩抜きしてあっても塩辛く感じるのが正常でしょう。
ハムの中には燻製処理(煙がたくさん出るように燃やして,貯蔵しやすい乾物にする方法)を施したものもあります。
世界的に見ると,豚の飼料に桃やピーナッツを使うなどをして工夫したり,熟成期間を半年近くにまで長く設定し,表面にカビが生えた状態のものを切って蒸して食べるものもあったりと,「知らないハムがたくさんあるんだな」と感じずにはいられません。
とはいえ,温めは苦手とするものが多く,生ハムを電子レンジに入れようものなら,できあがりの味はとてもまずいです。
具体例として,大山ハムから,カントリーローストと熟成糸巻きロースハム,そして生ハムを紹介しましょう!
カントリーロースト
ハムの中では個人的に,これが一番おいしいと思っています。
しっとりとしていて深みがある味と言いましょうか。
「燻製」と聞くと,刺激的な味に仕上がっているものを想像しがちですが,このカントリーローストに限っては,通常のハムの味を変えずに,純粋においしくした感じです。
コッホシンケン・ペッパーシンケン
コッホシンケンは,国産の豚もも肉から作られたボンレスハムで,上の写真で一枚ですから,大変インパクトがあります。
なお,豚の肩ロース肉を使って,黒粒胡椒をまぶした「ペッパーシンケン」というものもあり,こちらは,薄く切ったビーフジャーキーを,よりおいしくしたものと形容すればよいでしょうか。
大変濃厚で刺激的な味わいになっています↓
なお,私の家族にはこれが一番好評です。
熟成糸巻きロースハム
熟成期間は7日間以上ということで,「じっくり」の部類に入る長さで,香りとうまみ,食感に特徴があるロースハムがこちら。
利用用途としては,薄く切ってそのままパンにはさむことが多いのですが,どこをかじっても味がギュっと詰まっているように感じます。
噛み応えも十分で,脂身が少ないところも影響しているのでしょう。
こういったハムは,お中元などで親がもらっても子どもからすればあまり嬉しくありませんでしたが,大人になった今では毎日使うので,あると重宝しますね。
生ハム(肩ロース)
国産豚の肩ロースをじっくりと漬け込み,肉のうまみと脂肪の甘みを引き出した生ハムです。
赤と白のコントラストが強烈で,普段はオリーブオイルとチーズを振って食べています。
メロンがあったら一緒に食べてみたいものです。
大山ハムのものは,生ハムがフィルムのようなものに貼りつけられており,1枚ずつ丁寧に剥がし,少量ずつ味わいながら食べることができます。
他のハムと異なり,一口で伝わってくる情報量が多いですよね。
冷たいままで提供されるものなので,口の中に入れてから脂が溶け始めるのも生ハムの魅力でしょう。
飲み物はワインが合います。
ベーコン
豚の胸からお腹にかけての部分は「バラ」とか「三枚肉」などと呼ばれる,脂肪分が多いところとされますが,これらをまな板のような形に切って整えて,塩漬けにして燻製にしたものがベーコンです。
燻製することで良い色や香りが付き,保存性も向上させられると言います。
カナディアンベーコンのように豚のロース肉で作ったベーコンや,豚の肩肉で作るショルダーベーコンもあります。
なお,朝食の定番と言えば,薄切りにしたベーコンを焼いたものですが,アメリカ人などは特によく焼いてカリカリにした状態のものが好きです。
調理の際は,できるだけ温めるようにしましょう。
特有の香りと塩味がポイントで,ソースの風味や味付けにも使われます。
熟成乾塩ベーコン
こちらは「乾塩せき法」を行い5日間以上熟成させたベーコンで,別の料理にうまみや香りのアクセントを加える使い方もできます。
ごく少量で構わないので,ペペロンチーノに試してみてください。
塩気があって香しいアクセントを付け加えてくれます。
なお,上で述べた乾塩せき法とは,肉に食塩や発色剤などを擦り込んで一定期間低温で漬け込む処理のことです。
対する言葉として「湿塩せき法(液体に付けるもの)」があり,これよりも手間がかかってしまうものの,ベーコンには乾塩せき法の方が望ましいとされています。
上の写真よりももっとカリカリにして,濃い目のラーメンに入れてもおいしいです。
なお,薄めに切られた状態で売られている商品もあり,こちらの方が口に入れた時に独特の香りが漂いやすいように感じます↓
先のブロックをこの薄さには切れそうにないですね。
単独で食べるならこちらの薄型,料理に使うならブロック型の乾塩ベーコンの方が使いやすいでしょう。
こんがり焼き豚(番外編)
ベーコンではありませんが,番外編として「こんがり焼豚」をここで紹介します。
味的にはハムに分類されるかもしれませんが,うまみがあって歯切れがよいのが本商品の特徴です。
ちょっとしたカップ麺に加えても,おいしく食べられました↓
豚臭さが混じり合うと,また別のおいしさになるのが特徴です。
ソーセージ
ソーセージとは,肉に香料と調味料を加えてひきつぶし,塩せきした後で羊や豚や牛の腸に詰めたもので,燻製にしたものとそうでないものの2種類があります。
最近は「無塩せき」のものも出ていますが,無塩ではないので注意してください。
これは,発色剤のみを不使用ということを意味します(発色剤は,獣臭を取り除いたり,脂質を酸化させにくくしたり,ボツリヌス菌の増殖を抑制します)。
ゆえに,添加物を気にする人に好評になるのも理解できるでしょう。
豚だと,うで肉が主原料だと言えそうです。
しかし,よくもまあ,昔の人は保存食にこのようなものを考え出しましたね(歴史をさかのぼると,起源は3000年前だとされています)。
外装に使う腸管は「ケーシング」とも呼ばれ,動物以外に人工のものも多いです。
パッケージに天然腸と表記されているものは天然もののケーシングとなり,肉との一体感に優れ,それ自体にも味が付いていておいしいとされます。
大まかな見分け方ですが,ソーセージが自然な感じに 曲がっていれば天然腸です。
なお,製品名は以下の3種類があり,それぞれ,
- ボローニャ:牛腸使用か製品の太さが36mm以上
- フランクフルト:豚腸使用か太さが20mm以上
- ウインナー:羊腸使用か太さが20mm未満
と定義されています。
このうち,ウインナーについてはボイルにするか焼くかで悩みますが,温めることで味が引き立つのは確かです。
その他のものは
余談ですが,スーパーで買えるシャウエッセンは2020年頃まではボイル推奨でしたが,最近ではレンジ調理も記載されるようになりました。
あらびきポークウインナー
燻製の豊かな香りとジューシー感が特徴のポークウインナーは,保存料不使用です。
食べた感想としては,香りが独特で,商品名にもあるように粗挽きらしさが感じられます。
歯切れが良く,程よく脂が溶けるのであとを引きません。
ハワイアンポチキ
ハワイで好まれる「ポチキューズソーセージ」をベースにした,辛口のポークウインナーです。
味は濃い目で,確かな辛さがあとに残りますが,2本目に手を伸ばす頃にはもうすっかり舌が慣れています。
ニンニクと唐辛子で仕上げている為,味は病みつきになる味で,一袋に入っている8本では物足りないくらいでもっと食べたいです。
チョリソーと似ていますが,辛さの深みとニンニクの効きの点で異なります。
最初は「ほとんど変わりないだろう」などと高を括っていたのですが,まったくの別物でした。
バーベキューソーセージ
ウインナーを茹でるポイントは沸騰前の80度くらいのお湯で茹でることだそうで,茹ですぎにも注意してください。
目安の時間として,ウインナーは3~5分(フランクフルトは5~7分)の間で茹でるとパリッと仕上がります。
上で紹介したウインナーとは対照的に,さっぱりとしていてジューシーな味わいです。
見た目は天然腸らしいきれいな曲線を描き,ほんの1~2本食べるだけでも十分おかずになります。
モルタデッラ
彩りを考えて,チーズやパプリカを入れたリオナソーセージで,口どけが良いです。
こちらは加熱せずにそのまま食べることが多く,ロースハムと違うのは,子どもに一層好まれる感じで,見た目にも楽しめるところでしょうか。
単独でつまむのはもちろん,サラダやサンドイッチにあわせてもGOODです。
大山ハムではチーズとパプリカが加えられていました。
パプリカは味のアクセントというよりかは色合い的な要素が強く,チーズはすぐにとろけてまろやかな味わいです。
なお,似たようなものに「チーズリヨナー」というソーセージも売られており,そちらはより締まってまとまった味わいとなります。
こちらは,加熱しようものならうまみが消し飛んでしまうので,そのまま食べるようにしましょう。
トマトとオリーブ入りソーセージ
万人ウケする味になっていますが,本場ドイツで食べたようなピクルス的なオリーブの入ったソーセージです。
より複雑な味わいのソーセージを食べたいときはこちらをおすすめします。
食べ応えも一番ありました。
フライシュケーゼ【80g】
国産の豚肉を使用し,ソテーオニオンと甘い香りのマジョラム(ハーブの1種)を効かせた,口当たりがソフトなソーセージです。
形とサイズが食パンにピッタリ合いますが,私のおすすめはドイツの朝食式となります。
フライパンで焼いて食べるのですが,香りが立ってとにかくおいしいのです。
塩加減も十分なので,「4分の1くらい食べればご飯を2口くらいいける」イメージで捉えるとわかりやすいでしょう。
焦げた部分は特においしく,ビールにも合います。
なお,モルタデッラやフライシュケーゼもソーセージに属するわけですから,元々は巨大な腸管に詰められていたことは忘れないようにしたいものですね。
ハム・ベーコン・ソーセージの注意点
保存方法
これまでに紹介した「ハム・ベーコン・ソーセージ」はそもそもが保存目的で加工されたもののわけですから,開封せずに冷蔵庫(10℃以下)にしまっておけば1ヶ月は保ちます(ドライソーセージのように常温で保存できるものもあります)。
ただし,注意点として,冷凍保存には向いていないということです。
解凍する時に美味しさが逃げてしまい,食感まで悪くなってしまうのがその理由となります(繊維が切れてはうまみが流れ出すため)。
ただし,やむを得ず冷凍する際は小分けにして密封後,1日かけて冷蔵庫でゆっくり解凍させてください。
また,最も問題となるのは「開封後の保存」についてでしょう。
豚加工品は空気に触れて酸化することで,色が変わって風味は悪くなってしまう性質があるため,
- ラップを密着させて空気になるべく触れさせない
- パーシャルルーム(マイナス3℃くらい)で保存する
という2点を心がけるようにしてください。
塊なら1週間,スライスされていると2日を目安に食べきりましょう。
とはいえ,大体市販されているハムはそこらへんを考慮に入れているのか,ロースハムとかでなければ,1人でも1~2回で食べ切れる量になっています。
切り方
切り方については,繊維の方向に直角に刃を入れてスライスしてください。
基本的に幅広の面に平行に切ればよいことになります。
ちなみに上は「ももハム」の例ですが,糸巻きになっているものは糸を外してから切るようにしましょう。
まとめ
以上,大山ハムを例に「ハム・ベーコン・ソーセージ」について学んできましたが,違いや種類について理解が深まったでしょうか。
今回の記事の要点をまとめると,
- ハム:もも肉が中心だがロースもある
- ベーコン:バラ肉中心で脂肪分が多め。まな板の形で燻製する
- ソーセージ:ひきつぶしてケーシングに詰める
のようになります。
なお,私は先の「熟成乾塩ベーコン」に感動したのがきっかけで大山ハムを知りましたが,それ以来,定期的に頼むようになりました。
大山ハム社から,現在はエア・ウォーターアグリ&フーズ社が事業を継承しています。
どれもおいしいですが,最近のベスト3は,
- 1位:カントリーロースト
- 2位:フライシュケーゼ
- 3位:ペッパーシンケン
ですかね。
時期によってはふるさと納税も利用できるので,興味がある方は是非検討してみてください↓