今回は,キヨエで有名なバロックス社のオリーブオイルから,「ギリシャ・クレタ島のオリーブオイル」を使った料理の方を紹介してみたいと思います。
有名な料理人,道場六三郎氏が絶賛する「和食に合うオリーブオイル」ということで,その実力はいかがなものでしょうか。
加えて,ギリシャのクレタ島についての基礎知識や,通常のキヨエ(こちらはオーストラリア産のもの)との比較も行っているので,両者の味の違いについて興味がある方もぜひご覧ください!
ギリシャのクレタ島とオリーブオイルの関係
地中海に浮かぶギリシャ最大の島が「クレタ島」ですが,古代ミノア文明(エーゲ文明の1つ)が栄えた場所として有名です。
夜は上記画像のようにきれいなところですが,実は世界で一番オリーブオイルを消費している場所でもあります(オリーブオイルの使用は,この地から始まったとも言われます)。
ところで,みなさんは「地中海式食事法」はご存知でしょうか。
これは,オリーブオイルを筆頭に,ナッツと魚を中心とした食生活のことですが,多量の脂肪を摂取しているのに心臓病の発生率が低いという効果が本にもなっています↓
参考
ちょっと悔しいですが,世界的には「和食以上にヘルシー」とされているのが,この地中海の料理なのです。
そして,地中海周りにあるほぼすべての調理においてオリーブオイルが使われているわけであり,ギリシャという国においては1日100mlの消費量,さらにクレタ島に限っては1日になんと150mlも消費しているとも言われます。
これは,大さじに換算すれば6~10杯分に当たるわけですから,この話を聞いて以来,私はオリーブオイルについて深く見直すようになりました。
それまで私が普段使っていたのは,何の変哲もないサラダ油ですが,これを大さじ10杯毎日使うと考えてみるとどうでしょう。
誰しも,そんなオイリーな生活は送りたくないと思うはずです。
しかし,それがオリーブオイルの場合ですと,「それだけ使ってもむしろ健康的だ」とさえ考えられているわけですから,ここは大きく考え方を変える方が賢明でしょう(とはいえ,極端は良くないと思うので,意識的にオリーブオイルを使うことから始めました)。
なお,消費量が多いということは生産量も多いわけで,以前の記事で書いたように,地中海はオリーブの原産地でもあります↓
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ギリシャのクレタ島の経度は北緯35度。
地中海式気候はオリーブの栽培に適しているのは明らかです。
キヨエのクレタ島産オリーブオイルの特徴
ギリシャ・クレタ島のオリーブのみを使ったエキストラバージンオイルの1つに,バロックス社の「キヨエ・オリーブオイル」があります。
値段にして1382円(250ml)は1mlあたりに換算すると5.5円ですから,まぎれもなく料理人が使う高級なものであり,フライヤーによれば「道場六三郎氏も絶賛」とのこと。
同社には,オーストラリア産のキヨエもありますので,購入の際はパッケージに気を付けてください(これら2つの違いについては後述)。
このオイルですが,料理にそのままかけて食べる使い方が基本です。
というのも,香りも味もちゃんとした「エキストラバージンオリーブオイル」に分類されるものですから,加熱すると風味が飛んでしまいます。
安いものだと青臭さが気になったりするものですが,キヨエオイルの特徴は,日本人が好む味わいのタイミングで収穫しているところで,問題にはなりません。
さて,詳しい使い方についてですが,シェフの意見によると「塩→醤油→本商品→酸味」の順に味を付けていくのが理想ということでしたので,これに従って調理してみましょう!
すぐに味がわかるのは「冷ややっこ」だということで,早速作ってみました↓
レシピ
長ねぎにオリーブオイル(小さじ2)と醤油(小さじ1)と酢(小さじ1/2),砂糖(ふたつまみ)を混ぜたらラップして,1分半レンチン。水気を切った木綿豆腐に大葉と一緒に乗せました。
あれ?このオイル,味と自然に混ざるぞ!
これが私の第一感です。
この時点では醤油との相性が良いことにまだ気づいていませんが,お刺身にかけて食べた時,それが確信に変わりました。
なお,この後,冷ややっこの上からかけ足してみましたが,ちょっとそれはやりすぎでしたね。
和の次は,洋でいきましょう!
続いて食べるのは「生ハム」です↓
レシピ
生ハムに粉チーズを振ったら,最後にオリーブオイルをかける。
これがおいしいのなんの!
チーズとの相性もあるのでしょうが,生ハム特有の濃い味わいに負けていないところに驚きました。
それどころか,元々の味付け自体を侵食して,新しい味を作り出していきます。
濃い目の味付けに,ギリシャのオイルは向いているように感じました。
これらの例から学んだ「ギリシャ・クレタ島のキヨエオリーブオイル」の特徴についてまとめると,
- 醤油ベースの味付けに合う
- 濃い目の洋の味に積極的に干渉する
となります。
クレタ島のオリーブオイルを使った調理例
前章で気づいた特徴は本当なのか,より検証を加えていきましょう!
ここでは,ギリシャ・クレタ島のキヨエオリーブオイルを使って,和洋含めて3品を調理してみました。
サンマ飯
レシピ
市販のサンマ飯の素を入れてご飯を炊く。仕上げにニラを切って乗せ,オリーブオイルをかけました。ニラはご飯が見えなくなるくらいまで乗せるのがマイブームです。
醤油と昆布のだしに魚の塩気が加わったサンマ飯ですが,今回注目したのはご飯の変化です。
オリーブオイルをかけるとバターライスのようになり,パラパラとかき込みやすく食べられます。
もともとのダシが染みたご飯を,オリーブオイルが1粒1粒コーティングし,味としては大変まろやかになった印象です。
オリーブオイルをかけない場合と食べ比べも行いましたが,かけることでご飯と具材の間に一体感が生まれました(これは納豆に本オイルをかけたときにも感じました)。
もちろん,私は断然かけた方が好みです。
ラタトゥイユ
レシピ
ズッキーニとナス,赤と黄色のパプリカを切ったものを200g用意し,水80mlにトマトソースとケチャップを全部で大さじ3くらい,砂糖をひとつまみ加えて弱火で10分蓋をして煮たら,最後蓋を取って水分を飛ばす。
洋からは「ラタトゥイユ」という料理に使ってみましょう。
ナスやウリにピーマンそしてトマトが生み出す「甘みや苦みや酸味」による複雑な味には,ギリシャ産のオリーブオイルがピッタリ合います。
オリーブのフレッシュ感が足されるだけでなく,味に干渉して変化をもたらすのがこのオイルの特徴と分析しましたが,上記の複雑な味がさらに複雑になり,甘みや酸味がさらに引き立つようです。
これくらいの個性的な味わいを持つ洋食には,是非本オイルを使ってみてください(ハヤシライスもおいしく食べられました)!
ツナとキャベツ煮
レシピ
鍋にオリーブオイルを小さじ1杯熱したら,キャベツ100gとツナ缶(オイルは捨てる)を入れ,醤油を小さじ1/2程度加えて弱火で煮ること10分。直前にオリーブオイルと酢を小さじ1杯ずつ混ぜ入れて食べます。
最初にオリーブオイルを加熱してしまいますが,我が家でよく食べているので紹介します。
キャベツは大体余るのですが,保存してあるツナ缶と一緒に簡単に作れてしまうのがこのレシピの特徴です。
よく見ると,最初に紹介した基本の使い方の順になっているのがおわかりでしょうか↓
- ツナの塩→醤油→オリーブオイル→酢の酸味
ちょっと味付けの濃さについてはキャベツを多めにするなどして調節していただきたいのですが,ツナの塩気とギリシャ産オイルの相性も良いことがわかるはずです。
オーストラリアとギリシャ産の比較
「キヨエ」と名の付くエキストラバージンオイルとしては,オーストラリア産のもの(黄色い方)もありますが,今回のギリシャ産のものとは味も見た目も別物です。
ここで比較してみましょう。
まずは色ですが,これだけ違います↓
ほぼ同じ高さになるように入れましたが,ギリシャ産(右)の方がより濃い黄色をしています。
これは,生で飲んでみたときの味の強烈さとも比例しているようです。
もっとも,どちらも青臭さは抑えられていて,喉を刺激して咳き込むほどではありませんが,ギリシャ産の方をパンに十分吸わせて食べてしまったときにはむせてしまいました。
パンに付けて食べるのであれば,オーストラリア産のキヨエがおすすめです。
それではサラダの場合はどうでしょう。
これは具材に何を使うかに依ります。
リーフとトマト,それに果物を足したような淡白なサラダですと,オーストラリア産の方が素材自体の風味を邪魔せず,トマトや果物の酸味を引き出してくれますが,ソーセージを加えるような場合はギリシャ産の方がおいしく感じました↓
野菜にオリーブオイルの味わいを積極的に加えたいような場合は,ギリシャ産のものを使ってみてください。
それでは最後に確認問題です!
以下に用意したのは,「豆腐のコンソメスープ(シイタケとニンジン入り)」と「野菜の肉味噌乗せ(キャベツやトマトをそぼろや生卵,そして煮物ダレで仕上げたもの)」ですが,私はこれらの料理にどちらのオリーブオイルをそれぞれ使うべきでしょうか↓
ヒントですが,コンソメスープは「素材のうまみが引き立つ薄味仕様」で,肉味噌の方は「カレー粉や山椒も加えて濃厚かつ複雑な味わい」です。
それでは正解を発表します!
これらの料理にピッタリなオリーブオイルは,「スープにオーストラリア産,肉味噌にギリシャ産」です↓
なんとなく,今回の記事の内容が伝わっていただけたようでしたら幸いです。
まとめ
以上,バロックス社の「キヨエオリーブオイル」からギリシャ・クレタ島産のものを中心に,それを使った調理の例とオーストラリア産との味や使い方の違いについてまとめてきましたが,いかがだったでしょうか。
特に今回メインで紹介したクレタ島のオイルですが,
- 醤油と混ぜると特に美味しい
- 和食には大体使える
- 濃い味付けで酸味のあるような料理には合う
- 複雑な味をさらに深いものに変えてくれる
という特徴がありました。
薄い味わいのものには風味が強く出るので苦手とするところもありますから,そこは量を控えめにするかオーストラリア産のものと使いわけましょう。
また,瓶自体が大きいと感じる方には,上記画像にあるiwakiの小分けボトルが便利かもしれません。
なお,今回のレビューに関しては,あくまで私個人の感想にすぎませんので,みなさんが同じ感想を持たれるかはわかりません。
先のサラダのような場合においては,個人の好みも関係してきます。
ですが,オリーブの産地によって確かな違いがあったのは事実です。
それでは最後に,各農場の違いについてのエピソードを載せてお開きといたしましょう。
オーストラリアの農場ではゼロから土壌を作って,スプリンクラーで徹底管理しているのに対し,ギリシャの農場は雨のみで水を管理します。そのため後者の方が実は小さくなるものの,味は野生的でより濃いのが特徴です(バロックス社のフライヤーより抜粋)。
育った風土の違いがまさにその味に変わっているような気がして,大変興味深い内容でした。
みなさんのお好みの方を購入してみてください↓
野性的な味をお求めの方はギリシャ産を,そして万能な優等生タイプをお求めの方にはオーストラリア産をおすすめします!
その他,同社の「バージンオイル・バロックス」については以下の記事を参照してください↓
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